#1(鉄骨業界で求められる『BIM対応』について)で説明した通り、『BIM対応』したREAL4やKAPなどの鉄骨専用CADデータは、『Revit』などのBIMソフトウェアに反映して活用することができる。3次元の施工モデルとして様々な角度から検証できることだけではなく、各種の2D図面を起こすことや部材調達・施工に移ることもでき、作業者の負担軽減が大きく期待されます。
検証や工程、生産、維持管理など全ての情報を活用できるので、「建物を建てる前に情報を見える化して、手戻りの無い工程で建築を目指す」ことで、実際に建てる前から業務効率化を図る有効な手段となります。
では、実際にどのような業務効率化ができるのでしょうか。
大手ゼネコンでほぼ用意されている『統合BIMモデル』
昨今の建設現場では元請側で躯体BIM・鉄骨BIM・設備BIMの『統合BIMモデル』が用意されている物件が多くなりました。
大手ゼネコンでは100%に近い状態です。
BIMモデルで意匠・構造・設備を重ねて検討することにより、設計・施工・運用の各フェーズでの効率化や品質向上が期待されます。
リアルタイムでのデータ共有や可視化は、プロジェクト全体の成果を向上させる大きな要素となります。
サンプル:BIMソフト『Revit』に統合させた『統合BIMモデル』
下記の画像は、『S/F REAL4』のCADデータを利用して、BIMソフト『Revit』に統合させた『統合BIMモデル』です。
的確な指示、物決めの短縮に繋がる『統合BIMモデル』
今でも現場の物決めのフローは、設計図を元に現場監督が中心となり、ファブリケーターや他工種との取りまとめと、指示出しを実施しています。
人材不足の悩みは建設業界全体に存在し、ゼネコン側でも現場監督の経験不足から「的確な指示が出せない」という問題が日常的に起こっています。その状況下で、「ゼネコンからの指示を待っている」だけでは物決めの短縮には繋がりません。結果設計担当者への業務負荷が右肩上がりに増えて行きます。
ファブ側でも『統合BIMモデル』を確認し、現場で停滞している問題を理解することで、適切な対処が可能なはずです。
『統合BIMモデル』に対し、自社で作成した鉄骨詳細モデル(REAL4・KAP・Tekla)を重ねて整合を確認することで、より高精度で問題認識が可能になります。取り合う建材の仕様から、鉄骨に迎えるピースの予測も立体的に確認することが可能になります。
これまで紙の図面だけで納まり提案を続けていた中で、『BIM』の立体モデルと併せて提案することにより、現場監督や他業種の理解も深まり、決めごとが早くなると考えられます。結果、設計担当者の労務負荷を平準化することが期待できるのです。
IFCデータ等の『統合BIMモデル』を操作するためのフリーソフト
帳票出力で、材料発注用図面はいらない!
大きなファブになるほど、材料発注(コラム、BOX、外法、BH)用の『図面』が必要とされるケースを多く見ます。
鉄骨専用CADから【材料発注用の単品詳細図】を作成するのにも多くの労力が必要になりますが、代表的な鉄骨専用CAD(REAL4、KAP、Fast Hybridなど)には、材料を発注する為の『帳票出力』が可能です。
サンプル:鉄骨専用CADから出力された帳票
材料発注時に求める情報を、鉄骨専用CADから出力される帳票に置き換えるだけで、従来の材料発注用図面の完成を待っていた時間を短縮できます。結果、設計担当者の労務負荷を減らすことに繋がります。
正確な鉄骨情報があるからこそ、材料ロスも減少へ
鉄骨専用CADにある鉄骨情報が【間違いない情報】であることは必須です。鉄骨専用CADデータから出力される一般図にて、スパン・階高・部材配置・鋼材の種類の確認が可能。その時点で鉄骨専用CADから出力される材料発注明細(帳票)で、ロール材の手配が可能になり、材料ロス減少へ繋げることができます。
材料発注担当者や設計者の業務効率化ができるだけでなく、計画的に材料の手配ができます。
ゼネコンからファブへの情報の流れにも変化が起きている
日本を代表するある大手・準大手ゼネコンでは、一定の規模を超えたプロジェクトについては、ゼネコン側で一般図を用意してファブに支給するケースが増えています。またファブが持つ鉄骨専用CADデータを、ゼネコン側が承認すると言う大変先進的な取組みをしている会社も存在します。
非常に画期的な取組みで、ファブと工事事務所の労力削減に大きく寄与しています。
最大手ゼネコンからの流れが建設業界内で徐々に広がって行く未来を想像すると、ファブが『BIM』 に対応すると言うことは、ファブ経営にメリットしかもたらさないと信じています。
物作りの基本は全て図面から
材料入荷から出荷、建て方までの全ての情報が【BIMモデル≒図面】に詰まっています。
新しいものを取り入れるのではなく、実は持っているデータを使えば『BIM』を活用できる。『BIM』への取り組みとして出来ることは、まず考え方。今あるものを活用すれば、『BIM』を実現できるのです。
『BIM案件』に対応しているファブの多くは、2次元図面への比重を減らし、鉄骨専用CADの情報を有効活用しています。早い段階から鉄骨BIMモデルから情報を一元管理し、その情報から図面や帳票を活かす工程は、『BIM』の概念に則っていると言っても過言ではありません。
私たちsteelnaviは、『BIM対応』イコール『専用CADを使い倒す』ことが、数ある諸問題への解決に繋がると考えています。
次の記事では、BIM対応CADや、さらなる業務効率化を図るおすすめのソフトウェアなどを紹介します!